
街の蔵
主要用途:集合住宅 / 建設地:東京都 / 竣工:2024年
建築設計:合同会社ANDREA.H.ARCHITECTS 、株式会社NECCO / 施工:株式会社和田工務店
階数:地上2階 / 延床面積:約220㎡ / 構造種別:木造軸組工法 / 基礎形式:直接基礎
掲載:I’m home. no.140
ツインタワー状に連なる棟を、一体的に構成
住宅街に計画された、木造2階建ての長屋形式の集合住宅です。1階を建築主の住宅、2階をふたつの賃貸住宅とする構成です。
建物は、2階建てのボリュームを3棟並べた構成となっており、各棟の間に中庭を設けることで、住宅街の中でも各室に自然な光を取り込む計画とされています。
3つの棟は、幅約2mの通路によってつながれています。ひとつめの通路は2階床レベルまで、もうひとつの通路は屋根レベルまで連続していますが、意匠的な観点からエキスパンションジョイントで分離せず、3棟を一体の建物として計画しています。構造的には、複数の棟が細い接続部でつながる、ツインタワー状の建物です。
このような建物では、地震時に各棟が異なる揺れ方をすることにより、棟同士の間に相対変位が生じることが課題となります。構造計算においては、まず3つの棟がそれぞれ独立した建物として成立するよう、棟ごとに耐力壁を配置し、個別に構造計算を行っています。
そのうえで、3つの棟はいずれも同程度の規模であり、通路部分を介して相互につながる構成であることから、各棟の重心位置や剛性バランスを確認したうえで、1階部分については3つの棟全体で剛床仮定が成立するものとして、建物全体を一体とした構造計算を行っています。この一体モデルによる検討では、ツインタワー状の性質を考慮し、地震力の算定においてAi分布による影響を反映させ、地震力の割増を行っています。
また、2階部分については、3つの棟のうち屋根レベルまでつながる2棟を一体として扱う必要があるため、この2棟を対象とした追加の構造計算も行っています。棟同士をつなぐ通路部分については、地震時に生じる相対変位を考慮しながら、柔床仮定に基づき水平構面による地震力の伝達を検討し、接続部に過大な負担が生じないよう計画しています。
このように、構造計算においては、合計5つの構造モデルによって、分棟的な構成と一体建物としての挙動の両面から安全性を確認しています。
2階の住居へアクセスする屋外階段は、1本柱による軽快な鉄骨階段として計画しています。この階段については、2階床レベルで建物本体と接続し、鉛直荷重は鉄骨造部分のみで負担させ、地震時の水平力は建物本体で負担する計画としています。



写真:彦根藍矢
